キャリアコンサルティング技能検定1級は現存するキャリア関係の資格で最高峰のものです。合格率も低く、なかなか難しい試験ではあります。
実技がとくに難しく、論述、面接ともに苦労される方が多数です。
その背景から論述試験を研究していくシリーズです。
私自身、最近2回の1級論述試験を受験し、2回とも合格点を取っていますので参考にしてください。自身のタイプは、国家キャリコン論述解答例をお伝えする際に申し上げた通り、試験細目に従い、まんべんなく網羅した得点拾いスタイルの答案を提出します。
まんべんなく網羅することで、コツコツ得点を積み上げ、減点ポイント(論理矛盾、誤字脱字等)を極力減らし、合格点を目指します。
一方、スタイルとしては、ポイントとなる一点を深く掘り下げて考察する論述答案を作成される方もいらっしゃるようです。高得点を取られる方にこのタイプが多いようです。
どちらのスタイルが良い、一方がダメということを申し上げたいのではなく、網羅スタイルの考え方を記しますので、参考程度におさめて頂ければと思います。
その5からの続き。必須問題 問2を考えていきましょう。
問2 この事例相談者の相談者Aへの対応について、どのような問題があるか、あなたの考えを記述せよ。(15点)
これは、事例相談者(=実際に相談者Aとむかいあったキャリアコンサルタント)のAさんへの対応の問題点を書いていきます。
繰り返しになりますが、ここはひとつを深掘りしていく方と、私が採っている方法、まんべんなく記載していく方法がありますが、後者の説明をしていきます。
Aさんへの対応の問題として、概念的に掲げることができることとして、
「Aさんの自律的意思決定を尊重」
していない行為があるでしょう。
つまり、Aさんの成長を促すような行動ではないことですね。それは基本的態度の部分であったり、技法の部分であったり、プロセスの部分であったり、さまざまでしょう。
こちらも、問1同様、根拠を書くことが望ましいです。根拠がないと、あてずっぽうであったり、解答者(受検生)の妄想であることも考えられるからです。
「~~という応答から、××という問題が考えられる」
等と示して行くとよいでしょう。ここで、断定的な言い回しを嫌う指導者がいることは書き添えておかないといけません。たとえば、上記の答案を、
「~~という応答から、××が問題である」
と断定的にしてしまうことは、指導者としていかがなものか、事例相談者の受容していないのではないか、と考えるからであるとお察しします。
このあたりはどこで、誰から学んだか、どういう流派であるかによってニュアンスもことなるので、私、個人的には誤差の範囲内であると考えています。あくまでも。
致命的なことは、語尾を断定的にしないことより、「××が問題」ということを明記できないことです。もちろん根拠と一緒に。
語尾に気を遣うのは、問題を把握できるようになってからでしょう。
そして、忘れてはいけないことがあります。倫理綱領や、法令用語の誤用等、キャリアコンサルタントとしての素地で好ましくない場合もあるようです。その点も注意をはらいたいものですね。